孔明を溺愛する管理人による萌えと落書きを雑然と書いてます(ほぼ毎日)。初めての方は「はじめに」をどうぞ。キャラ崩壊注意。
突然の雨。
わずか1ミリ足らずの水の粒が急速に体温を奪っていく。
水気を吸った芝生は自らに踏み込む靴を淡く捉える。捉えられた靴を持ち上げる度に泥が跳ね、汚れひとつなかったスーツの脚にぽつぽつと黒い染みをつくってゆく。かまわず孔明は東屋まで走った。
東屋の土は乾いていた。
ほっと一息ついて孔明は相変わらず雨を吐き出す曇天を睨んだ。
と、ともに己の行動を振り返り少し浅はかだったかと思った。
―――珍しく考えが煮詰まった。
デスクに置かれた地図を目の前に、情報は既に頭のなかに全て入っている。地形、兵力、補給路、全ての情報も揃っている――が考えが出てこない。
今回敵は韓信が動くらしい。あの男は何を考えているかわからないところもあるからか、考えが出てこない。
ふと窓を見ると、外はうららかな日の光と生命溢れ繁茂する緑とが共演していた。
たまには――とこれまた珍しい気を起こして散歩に出てみた。
――――そうしたらこの様だ。
突如として雨。
暖かな太陽はヒトの期待を裏切るかのように厚い灰色に隠れ凍てつく雨を落とした。
雨の勢いは激しく、芝生は簡単に水に侵食された。
すぐには止まないだろう。
仕方なしと東屋で雨を凌ごうとしたが、ふいに何かを感じて東谷の外へ視線を向けた。孔明のように雨から逃れようと此方へ走ってくる人物がいた。その人物が何者か見とめると孔明は眉を寄せ、その人物を見ないようにそちらへ背を向けた。
すぐに足音が湿った地面を蹴る音から乾いた土を踏む音に変わった。
「―――孔明じゃないか」
その低い声に嫌気がさした。
「これは樊瑞殿。珍しいところで会いますな」
顔にはひとつも出さずにそう言った。乾いた土を踏みしめ靴音が此方へ近づく。
「―――では私はこれで」
不本意ながらこの雨の中へ戻ろうと思った――早くこの男から逃れたい。
「待て。この雨のなか何処へ行く気だ?」
要らぬ世話を焼くのもこの男の癖で―――。
「図書館へ。調べものがありますので」
「図書館……遠いな」
「ええ、ですが、急いでおりますのでこれで」
踵を返し、覚悟を決めて降りしきる雨のなかを走り抜けようとした時、名前を呼ばれた。孔明――。
「送っていこう」
―――何を言い出すのだこの男は。
すると樊瑞はその悪趣味なマントを翻し己が頭を覆うように広げると止めのひと言を発した。
「儂の傘でな」
――――酷い目眩がした。

↑「儂の傘でな」の図
という感じでした(シリアスにみせかけてギャグ)。
えぇ、本当にこんなシーンがあったんですよ。ベースは映画のまんまです。策士が作戦に煮詰まってるのとか「儂の傘でな」で目眩するのは勿論創作ですがね(でも「俺の傘でな」はありました)!
詳しくは韓国映画「ラブレター(日本語題)」をご覧下さい。
わずか1ミリ足らずの水の粒が急速に体温を奪っていく。
水気を吸った芝生は自らに踏み込む靴を淡く捉える。捉えられた靴を持ち上げる度に泥が跳ね、汚れひとつなかったスーツの脚にぽつぽつと黒い染みをつくってゆく。かまわず孔明は東屋まで走った。
東屋の土は乾いていた。
ほっと一息ついて孔明は相変わらず雨を吐き出す曇天を睨んだ。
と、ともに己の行動を振り返り少し浅はかだったかと思った。
―――珍しく考えが煮詰まった。
デスクに置かれた地図を目の前に、情報は既に頭のなかに全て入っている。地形、兵力、補給路、全ての情報も揃っている――が考えが出てこない。
今回敵は韓信が動くらしい。あの男は何を考えているかわからないところもあるからか、考えが出てこない。
ふと窓を見ると、外はうららかな日の光と生命溢れ繁茂する緑とが共演していた。
たまには――とこれまた珍しい気を起こして散歩に出てみた。
――――そうしたらこの様だ。
突如として雨。
暖かな太陽はヒトの期待を裏切るかのように厚い灰色に隠れ凍てつく雨を落とした。
雨の勢いは激しく、芝生は簡単に水に侵食された。
すぐには止まないだろう。
仕方なしと東屋で雨を凌ごうとしたが、ふいに何かを感じて東谷の外へ視線を向けた。孔明のように雨から逃れようと此方へ走ってくる人物がいた。その人物が何者か見とめると孔明は眉を寄せ、その人物を見ないようにそちらへ背を向けた。
すぐに足音が湿った地面を蹴る音から乾いた土を踏む音に変わった。
「―――孔明じゃないか」
その低い声に嫌気がさした。
「これは樊瑞殿。珍しいところで会いますな」
顔にはひとつも出さずにそう言った。乾いた土を踏みしめ靴音が此方へ近づく。
「―――では私はこれで」
不本意ながらこの雨の中へ戻ろうと思った――早くこの男から逃れたい。
「待て。この雨のなか何処へ行く気だ?」
要らぬ世話を焼くのもこの男の癖で―――。
「図書館へ。調べものがありますので」
「図書館……遠いな」
「ええ、ですが、急いでおりますのでこれで」
踵を返し、覚悟を決めて降りしきる雨のなかを走り抜けようとした時、名前を呼ばれた。孔明――。
「送っていこう」
―――何を言い出すのだこの男は。
すると樊瑞はその悪趣味なマントを翻し己が頭を覆うように広げると止めのひと言を発した。
「儂の傘でな」
――――酷い目眩がした。
↑「儂の傘でな」の図
という感じでした(シリアスにみせかけてギャグ)。
えぇ、本当にこんなシーンがあったんですよ。ベースは映画のまんまです。策士が作戦に煮詰まってるのとか「儂の傘でな」で目眩するのは勿論創作ですがね(でも「俺の傘でな」はありました)!
詳しくは韓国映画「ラブレター(日本語題)」をご覧下さい。
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